2025年の秋、音楽制作やレコーディングを続ける人たちの中で、少しずつ空気が変わってきています。
「AIより上手くできないから、自分はやる必要がない」
「どうせAIが作ってしまう」
「バズっても収入にならない」
そんな言葉を耳にする機会が増えました。
AIという新しい基準が生まれたことで、音楽を「作る」ことの意味が揺らいでいます。
AIツールの進化によって、音楽制作のハードルは一見下がりました。
しかしその一方で、心理的なハードルは確実に高くなっています。
AIが短時間で整ったサウンドを生み出すたびに、人間の側が「AIより上手くできているか」を意識してしまう。
この構造が、創作意欲やモチベーションを削いでしまっているのです。
実際、音楽業界ではAI生成の楽曲が急増しています。
2025年には、あるストリーミングサービスで新しく追加される曲のうち、約3割がAIによる生成作品だと発表されました。
1日あたり3万曲を超える量がアップロードされており、人間が作った音楽が見つけにくくなっているともいわれています。
AIが音を作る時代は、単なる技術革新ではなく「可視性と信頼の再設計」を迫る時代でもあります。
音楽を作っても聴かれない、聴かれても届かない。
そんな“発見困難”の構造が、多くの創作者を疲弊させています。
一方で、AIが整った音を量産できるようになった今だからこそ、人間が作る音の「揺らぎ」や「息づかい」の価値が再び注目されています。
呼吸の間や、わずかなノイズ。
そうした“均質ではない音”の中にこそ、作り手の時間や感情が宿ります。
録音現場では、AIが模倣できない領域をどう残すかが大切になっています。
音楽制作は、仕上げることではなく、「残す」ことへと軸を移しつつあります。
神宮前レコーディングスタジオでは、AI時代における創作の疲労や迷いに向き合う方々を多くお迎えしています。
私たちは「AIに勝つ音」を作るのではなく、「人の息づかいを残す音」を一緒に作ることを大切にしています。
作品を仕上げる過程で、メタデータや紹介文などを整える「可視性の設計」も同時に行い、作品が埋もれないようサポートしています。
音の完成度を高めるだけでなく、作品が“届く形”まで伴走することが、スタジオの新しい役割だと考えています。
AIが基準を変えた今、人が向き合うべき基準は「上手い・下手」ではありません。
「誰が、なぜ、その音を作ったのか」
そこに宿る意図や体温が、聴く人の心を動かします。
AIが整えた音が溢れる世界の中で、
人が奏でる一音には、いまも確かな価値が存在します。
録ることは、存在を残すこと。
そしてそれは、AIがいかに進化しても奪うことのできない、人間だけの営みです。
神宮前レコーディングスタジオでは、
整いすぎた世界の中で、あえて「人の揺れ」を残す録音を行っています。
AIの時代における音楽制作の意味を、一緒に探していきませんか。
👉 神宮前レコーディングスタジオ
https://www.elekitel.net/

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